ブログ(仮)
Posted by l.c.oh - 2006.02.05,Sun
- 澤田 昭夫
- 論文の書き方
学術論文の書き方について、リサーチの仕方から文章の構成、レトリックまで丁寧に論じた入門書です。
昭和50年代に書かれた本にも関わらず、未だにかなり高い評価を得ている本というだけあって、なかなか有意義でした。僕自身はあまりこのようなhow toものの実用書は読まないのですが、これは読むだけの価値があったと思います。類書を読んだことがないので評価が難しい。講談社学術文庫にしては、非常に読みやすい本であることは確かです。
リサーチや論文構成の手法については、基本的に紙ベースで議論が進むので、論文の構成などにPCを使うであろう今日にあっては古びた印象は否めません。しかし、基礎的な部分は変わっていないでしょうから、読む意義は十分にあるでしょう。
レトリックという言葉は、昭和50年代に比べると非常に多くの意味を持たされる語になってしまっているイメージがあり、著者の意図するところが伝わりにくくなってしまっているように思いました。この語を使うときの著者の意味するところが把握できれば、役に立つ話がいっぱい詰まっているのだと思います。
残念ながら(幸いにして?)、僕自身は論文らしい論文を書き上げたことがないのですが、今後論文を書くような機会があれば、是非手元において参考にしたい本です。
2月5日 自宅で読了
★★★★☆
PR
Posted by l.c.oh - 2006.01.10,Tue
- 恩田 陸
- 月の裏側
SFホラーでしょうか。ジャック・フィニイの『盗まれた町』という小説のオマージュらしいです。
奇妙な連続失踪事件の裏を探る話です。背後には、ある種の超自然的な存在があるのですが、その行動(?)を「恐ろしい」と感じるかどうかは人それぞれでしょう。少なくとも僕は「恐ろしい」とは感じませんでした。「自分」が「自分」であることに価値を見出す人(ひどく抽象的な言い方ですが)は「恐ろしい」と感じそうな気がします。
恩田陸には珍しく、文体のわざとらしさに時々引っかかりました。
1月10日 通学中に読了
★★☆☆☆
Posted by l.c.oh - 2006.01.08,Sun
- 高村 薫
- 黄金を抱いて翔べ
高村薫は初めてです。この作品は、日本推理サスペンス大賞を受賞した、高村氏のデビュー作です。
銀行の金庫から金塊を強奪せんとする男たちの話。
「正確無比なディテイルで絶賛を浴びた」(裏表紙の紹介文より)そうで、確かに爆弾の雷管の話やら襲撃の場面のディテイルは本当に詳細(僕には正確かどうかは判断できませんが)。
詳細に描かれた場面は、その場に立ち会っているような臨場感が出てきて、読み手を引き込む力があるように思います。ただ、特にストーリーの緩急のなかの「急」のところでこまごまとやられると、逆に緊張が冷めてしまう。その辺のバランスが難しいところなのでしょうが、僕にとっては、若干詳細すぎる感じでした。
1月8日 自宅で読了
★★★☆☆
Posted by l.c.oh - 2006.01.06,Fri
- 綾辻 行人
- 十角館の殺人
綾辻行人の処女作です。
処女作とは思えない、なかなかの出来です。解決編の部分は、まだこなれていない印象が強いですが、全体的には楽しんで読むことが出来ました。「鮮烈なトリックとどんでん返し」という本の紹介が、今回はぴったりきました。
アガサ・クリスティーの名作、『
1月6日 自宅で読了
★★★★☆
Posted by l.c.oh - 2006.01.02,Mon
- スティーブ モス, ジョン・M ダニエル, Steve Moss, John M. Daniel, 浅倉 久志
- 極短小説
2005年の年間で本に費やした費用が30,000円(文庫本のみ)あまりになっていることに気づき、経費節減の必要性を感じています。そこで、久々に古本屋に行ってきました。仕入れてきた本のうちのひとつ。
小説はどこまで短くできるのかに挑戦したものです。投稿作品から選りすぐりの157編収録されていますが、全てが55語以内(英語で)になっているという本です。日本語でも200字以内、文庫本半ページあまりです。星新一のショート・ショートよりずっと短い。
出来は、というと、玉石混交ですが、面白いものはかなりありました。短い中にピリッとスパイスが効いているものが多く、高々200字でこれだけできるのか!というすごい作品もありました。
寝る前か何かにちょこっと読むのに最適でしょう。
1月2日 自宅で読了
★★★☆☆
Posted by l.c.oh - 2005.12.19,Mon
- 恩田 陸
- 図書室の海
最近、僕のなかでは、「よくも悪くも、器用な作家」という評価が定着しつつある恩田陸です。
連作ではない、普通の短編集で、他の長編の番外編が含まれています。
短編集には当たり前の感想かもしれませんが、面白いと思う作品と、あんまり…と思う作品が合い半ばです。
「睡蓮」(『麦の海に沈む果実 』の番外編)、「ピクニックの準備」(『夜のピクニック』の予告編)、「図書館の海」(『六番目の小夜子 』の番外編)はどうもしっくりきませんでした。この3つが、他の長編の番外編にあたるものです。最初と最後のものは本編の方を読んだことがありますが、本編の方の話を突っ込んで書けないためか、本編を読んだことがあるものは何となく物足りず、本編を読んだことがないものは何が言いたいのかよく分からない、という中途半端な感じになってしまっているように思いました。
逆に、「春よ、こい」「ノスタルジア」は面白かった。どうも僕は、時間軸が交錯するお話が好きなようです。
12月19日 通学中に読了
★★★☆☆
Posted by l.c.oh - 2005.12.18,Sun
- 綿矢 りさ
- インストール
言わずと知れた、最年少芥川賞受賞者(年下……)の作品。第38回文藝賞をとった作品だそうです。
内容はさておき、文体が新しい。同世代の僕にはしっくりはまる文章です。文体で奇を衒おうとすると、どうしても日本語が汚くなると思いますが、彼女はなかなかきれいな日本語を書きます。
内容についてはあまり書くことがない。いわゆる「思春期の不安定な心理」的なものが描かれていますが、個人的にこういうのはあまり共感する要素がないのです。
12月18日 自宅で読了
★★★☆☆
Posted by l.c.oh - 2005.12.17,Sat
- 小川 洋子
- 貴婦人Aの蘇生
今月は、小川洋子の新刊が2つあったようです。(もう一つ、『博士の愛した数式』については、12月4日のエントリ参照)
世界観や雰囲気は、相変わらず小川洋子ワールド。ひんやりとした静けさの中で物語が進んでいきます。
小川洋子の「愛着がもっとも深い小説」だそうですが、『シュガータイム 』といいこの作品といい、小川氏の強い思い入れのある作品は、個人的にはあまりピンと来ません。この作品は、『博士の愛した数式』と非常に近しい設定や雰囲気になっているのですが、『博士の愛した数式』の「博士」に当たる「伯母」が、「博士」ほど魅力的に書ききれていない印象を受けました。
12月17日 帰宅中に読了
★★☆☆☆
Posted by l.c.oh - 2005.12.17,Sat
- 岡嶋 二人
- 殺人!ザ・東京ドーム
岡嶋二人の『99%の誘拐 』が、「2005年度 この文庫がすごい!」のミステリー&エンタテイメント部門で1位を取ったそうなので、目についた岡嶋二人を買ってきました。
『99%の誘拐』もなかなかでしたが、岡嶋二人では『クラインの壷
』で非常に衝撃を受けた記憶があります。これは激推しです。ただ、それ以来、岡嶋二人を読んでも、どうも『クラインの壷』と比較してしまいます。
これも、『クラインの壷』に比べるといまいちな印象です。「現代人の病んだ心」的なステレオタイプで語られるような性向に、1988年の段階で着眼したことは注目に値すると思いますが…
12月17日 移動中に読了
★★☆☆☆
Posted by l.c.oh - 2005.12.16,Fri
世間はクリスマスモードが色濃くなりつつありますが、全く関係なく、読んだ本を淡々と紹介していくことにしましょう。

綾辻 行人
霧越邸殺人事件
綾辻行人に手を出してみました。
「驚愕の結末が絶賛を浴びた超話題作」だそうです。代表作の一つと言ってよいのではないかと思います。
綾辻氏と言えば、いわゆる「館もの」で有名。「館もの」は、外部から隔絶された一つの特異な建物の中で事件が起こって、内部のみで最終的に解決するもの、と僕は認識しています。最近ミステリーを読んでいないのでぱっと例が出てこないのですが、森博嗣の『六人の超音波科学者 』なんかがそうですかね。本書でも顔を出す、かの有名な『そして誰もいなくなった 』なんかも、広い意味で「館もの」といえるかもしれません。
この小説の舞台、「霧越邸」は、信州の山奥にある巨大な建物、という外形的な特異性に加えて、超常現象的な特異性も持った建物。その中に人々が雪で閉じ込められ、そこで北原白秋の童謡になぞらえた連続殺人が起こる、という話です。
綾辻氏=館もの的認識しか僕にはなかったわけですが、実際読んでみると、作者の深い教養が窺えます。やたら分析的です。
犯人は真ん中くらいで分かります(分かると思います)。「驚愕の結末」っていうほどのものでもないと思いますが、それなりに楽しませてもらいました。こういう「驚愕の結末」な作品を読むにつけ、新しさを要求されるミステリー作家って大変だなぁと思いますね。
12月17日 移動中に読了
★★★☆☆
綾辻行人に手を出してみました。
「驚愕の結末が絶賛を浴びた超話題作」だそうです。代表作の一つと言ってよいのではないかと思います。
綾辻氏と言えば、いわゆる「館もの」で有名。「館もの」は、外部から隔絶された一つの特異な建物の中で事件が起こって、内部のみで最終的に解決するもの、と僕は認識しています。最近ミステリーを読んでいないのでぱっと例が出てこないのですが、森博嗣の『六人の超音波科学者 』なんかがそうですかね。本書でも顔を出す、かの有名な『そして誰もいなくなった 』なんかも、広い意味で「館もの」といえるかもしれません。
この小説の舞台、「霧越邸」は、信州の山奥にある巨大な建物、という外形的な特異性に加えて、超常現象的な特異性も持った建物。その中に人々が雪で閉じ込められ、そこで北原白秋の童謡になぞらえた連続殺人が起こる、という話です。
綾辻氏=館もの的認識しか僕にはなかったわけですが、実際読んでみると、作者の深い教養が窺えます。やたら分析的です。
犯人は真ん中くらいで分かります(分かると思います)。「驚愕の結末」っていうほどのものでもないと思いますが、それなりに楽しませてもらいました。こういう「驚愕の結末」な作品を読むにつけ、新しさを要求されるミステリー作家って大変だなぁと思いますね。
12月17日 移動中に読了
★★★☆☆
僕が(一部)書いた本が出版されました
カレンダー
最新記事
プロフィール
HN:
l.c.oh
性別:
男性
職業:
法科大学院生
ブログ内検索
アーカイブ
リンク
最新CM
(01/18)
(01/17)
(02/14)
(02/14)
(01/14)
最新TB
カウンター
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
Powered by "Samurai Factory"