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Posted by l.c.oh - 2006.11.09,Thu
 覚え書き。
 極めてマニアックな話だけど、何かアイディアがある人がいたら是非教えて下さい。誤りの指摘も歓迎します。



 不動産譲渡担保の目的物に譲渡担保権者が抵当権をつけることはできるか?

 まず、譲渡担保権設定者の承諾がある場合は多分大丈夫でしょう。法律構成としては、転抵当権に関する民法367条を類推する感じでしょうか。
 譲渡担保権者の承諾がない場合はどうなるか。担保としての価値を有効に利用するという、転抵当を認める根拠を考えると、譲渡担保権についても同様の需要はありそうな気がします(必要性)。転抵当権と同様に考えると、承諾なしでも行けそう。

 対抗要件については、抵当権設定登記(転抵当の付記登記に相当)に加えて、譲渡担保権者から債務者への通知または債務者(=譲渡担保権設定者)の承諾を要求(377条2項類推)すべきでしょう。こうすれば、3者間の関係は、転抵当と同様に比較的すっきり構成できると思います(例えば、債務者に弁済を禁止させ、供託させるなど)。

 実行の場面では、結構難しい問題がでてきそう。

①例えば、転譲渡担保抵当権者(と仮に呼んでおく)は私的実行ができるのか。できるとして、どのような方法をとるのか。転抵当権であれば、抵当目的物の競売申立てで片がつきますが、私的実行の場合、転譲渡担保抵当権者が譲渡担保権者の処分権を行使することになるので、転抵当のようには行かないでしょう。

②一方、譲渡担保権者は私的実行ができるのか。結論としてはできそうですが、理論構成は微妙です。できそうな理由は、帰属清算型にせよ、処分清算型にせよ、譲渡担保権者の私的実行によって抵当権が影響をうけないと思えるからです。
 理論的な問題は、譲渡担保権の消滅後に抵当権を存続させる根拠が曖昧であることです。転抵当の法律構成については学説上争いがありますが、どのような法律構成をとったとしても、抵当権が消滅したあとまで転抵当権が存続することを正当化することはできません。
 一番わかりやすい例では、抵当権に担保権を設定すると構成する場合、転抵当権の抵当目的物は抵当権それ自体であるので、抵当目的物がなくなったら転抵当権は消滅せざるを得ません(当然、原抵当権の実行にあたって、転抵当権者は優先弁済を受けられます。)。これを敷衍すると、転譲渡担保抵当権の抵当目的物は譲渡担保権であって、譲渡担保権が私的実行をされた場合転譲渡担保抵当権は存続できないことになりそうです。
 一方、このような場合には、譲渡担保権が抵当目的物ではなく、譲渡担保権の目的不動産が抵当目的物と考えられればよいのですが、ここでは譲渡担保権者に担保目的物の処分権限がないことがネックになります。
 私的実行によって確定的な所有権が譲渡担保権者(または譲受人)に帰属すると、抵当権がその上に発生すると考えることもできそうですが、今度は対抗要件の問題が生じそうです。
 適切な解決策は思いつきません。譲渡担保権者が私的実行により、遡及的に確定的な所有権を取得する、という構成はどうだろうか。とりあえず保留。
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追記
ちょっと考えたのですが、
 譲渡担保の法律構成について所有権的構成を採った上で、その所有権について抵当権を設定する
または
 担保権的構成を採った上で、抵当権を設定する権限が譲渡担保権者に発生する
と構成するのが一番単純でよいかもしれません。譲渡担保権者の同意なしに転譲渡担保抵当権を設定する実務的な需要がどの程度あるのか分かりませんが、同意を必要とするとすると、後者の構成の方が要件は導きやすそうです。
Posted by l.c.oh - 2006.11.11,Sat 16:04:55 / Edit
無題
 譲渡担保は,実務上,担保仮登記が仮登記担保法により規制されることとなったため生み出された担保方法であると解されていますが,判例は,譲渡担保権者に清算義務を課し,譲渡担保権設定者に受戻しを認める等,譲渡担保について仮登記担保法の考え方を類推しているところがあるので,上記理論構成の中に,仮登記担保法の考え方を取りいれるべきではないでしょうか?

 ちなみに,仮登記担保は,登記記録に代物弁済予約を登記原因とする所有権の移転請求権の仮登記をする形で公示され,譲渡担保権は,登記記録に譲渡担保を登記原因とする所有権の移転の登記をする形で公示されています。

 ただ,譲渡担保権の設定が問題となるのは,集合動産であることが多く,公示の観点から見れば,動産の譲渡担保の方を考えるべきではと思われます。なお,債権譲渡特例法の改正により動産についても登記することができるようになっています。
Posted by これはいかが?? - 2006.11.24,Fri 02:53:34 / Edit
仮登記担保
>これはいかが?様
 コメントありがとうございます。

 まず、仮登記担保と譲渡担保について。
 仮登記担保法では転担保についての規定が見あたらないのですが、実務上(仮登記担保法ができる以

前を含め)このような担保方法は行われているのでしょうか?もしご存じでしたら。

 それを踏まえた上で。仮登記担保法の考え方を考慮する、ということは、つまり登記の対抗要件の問題に還元してしまう、ということだと理解しました。
 つまり、仮登記担保が実行されると、仮登記後に登記された所有権移転等は仮登記担保権者に対抗できない、となる。逆に、実行されなければ仮登記後の登記も仮登記担保権設定者に対しては対抗できる、となる。これを譲渡担保に敷衍する場合には、おそらく、仮登記担保権者=譲渡担保権設定者、仮登記担保権設定者=譲渡担保権者、ということになるのでしょう。
 なるほど、という感じですが、まだちょっと整理ができておらず、やや混乱気味です。何となくですが、登記について仮登記担保権設定者=譲渡担保権者とすることには若干抵抗があります。これがどこに由来するのかはもう少し考えさせてください。


 なお、「譲渡担保権の設定が問題となるのは,集合動産であることが多く,公示の観点から見れば,動産の譲渡担保の方を考えるべきではと思われます。」という指摘はもっともだと思います。今回不動産で考えたのは、レポートででていた課題が、不動産の譲渡担保で、さらに登記原因が「売買」の事案だったためです。まぁ、転担保の問題は非常に些末な部分だったのですが。

 動産・債権譲渡特例法については、まさに登記原因について疑問点があるのですが、これは別稿で。
Posted by l.c.oh - 2006.12.04,Mon 17:29:30 / Edit
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