ブログ(仮)
Posted by l.c.oh - 2006.02.11,Sat
- 高野 和明
- 13階段
友人の勧めで読んでみた本、平成13年度の江戸川乱歩賞受賞作です。
犯行時刻前後の記憶を失ったまま死刑判決が執行されようとしている死刑囚の冤罪を晴らすために、刑務所の職員と出所したばかりの青年が事件の真相を追いかける話です。
エンターテイメント作品として見たときに、非常に面白い作品だったと思います。死刑や法・政策の批判についての重い重い議論が随所にちりばめられていながら、物語自体が滞ることなく、謎解きものとしての面白さを十分に味わうことができました。後半から結末にかけてのスピード感はかなりのもので、多くのレビューが「一気に読んでしまった」といっているのも納得です。
一方、この小説が提起している「死刑制度は廃止すべきか」、「多様な人を法律で規制することの限界」、さらには、「人が人を裁くことの矛盾性」という問題については、特に法律を学ぶ者としては常に考え続けなくてはいけない問題だと思います。中でも、死刑制度については、多様な人の多様な感情がひどく交錯する問題で、扱いが難しい。とりあえず、印象に残った一文として、「死刑の議論は、人を感情的にさせる何かがある」という刑務官のせりふをあげて、お茶を濁すことにします。
とても面白い作品なので、おすすめします。
2月11日 自宅で読了
★★★★★
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