ブログ(仮)
Posted by l.c.oh - 2006.02.09,Thu
- 椎名 慎太郎
- 遺跡保存を考える
遺跡保存を、主として制度の問題点を中心に検討する本です。検討する、といっても、岩波新書なので、非常にやさしく書かれています。
遺跡を保存するということは、開発を犠牲にすることにつながるため、この2者のバランスが重要になります。また、一度失われてしまった遺跡は、元に戻すことができません。その意味で、自然環境保護と開発のバランスを考えることとよく似ています(現に、環境法を主に検討している学者は、文化財についても関心が強いことが多いです。「歴史的環境権」という言葉もあるようです。)。
この本が出たのは1994年ですが、自然保護についてはそれ以降非常に社会の関心が高まっている一方、遺跡の保存への関心はなお高いとは言いがたい状況でしょう。遺跡に限らず、文化財保護法制はまだ非常に貧弱なのは間違いのないことで、法整備を進める必要があるのですが、その必要性があまり知られていないため、大きな議論にはなってこないのです。ぜひ広く関心を持ってもらいたい分野です。
この本自体は、遺跡保存に軸足を置いて議論しているので、一面的な議論もないわけではないのですが、社会の関心を喚起しようという意味で、非常に優れた本だと思います。行政法の学者の方が書いていますが、原告適格(小田急訴訟の時に書いたことがあります。)の話とかも分かりやすく書かれているし、吉野ヶ里遺跡とか長屋王の邸宅の跡とかのメジャな遺跡を多く取り上げていますので、法律を全く知らない人でも抵抗なく読めると思います。
2月9日 自宅で読了
★★★☆☆
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