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Posted by l.c.oh - 2006.02.09,Thu
 信託法改正について、法制審議会の答申が出たようです。
 NIKKEI NETの記事
 法制審議会の答申

 信託法という法律は明治時代にできたもので、今までほとんど改正を受けていませんでした。証券化などで、信託への関心が高まり、当初予定していたのと違った使い方がされるようになってきたため、改正の必要性が言われるようになり、一昨年(多分)、信託を扱う会社について規定した信託業法が先行して改正されました。そして、この度、信託法についても改正の内容がほぼ固まったわけです。

 改正案はいろいろな改正を含んでいますが、僕の関心からいくと、信託宣言ができるようになることが大きい。
 信託、というのはそもそも、誰かに資産を預けて運用してもらったりする仕組みですが、信託すると、預けた人からも預けられた人からも資産が分離して、いずれに対する債権者も信託された資産に手を出せなくなる、という特徴があります。つまり、いずれにお金を貸している人も、預けた人などが破産してしまったときに、信託された資産を売り払ってお金を返してもらうことができないのです。
 「信託宣言」というのは、資産を自分の手元に置いたままで、「この資産を信託するぞ」と宣言することで、債権者の手が及ばない資産を作れる仕組みのことを言います(当然、よくない使われ方をする可能性が高いので、それをカバーする規制がかかっています。答申第1-2(3)参照。)。これは、アメリカやイギリスなどでは認められていますが、日本では認められていないと考えられていました。
 「僕の関心」というのは証券化のことで、これが認められたところで一般の人たちにはほとんど影響がありません。証券化では、証券化する資産を入れる入れ物(SPVといいます)が必要ですが、これを作るときに信託宣言が広く使われています(どういう風に使われるかは、証券化について詳しい説明がいるので省略。)。しかし、日本ではできないので、今のところ英米法の使える場所(主にケイマン諸島)を使う方法が一般的です。日本でも信託宣言ができるとなると、使い勝手にもよりますが、日本国内で完結する証券化が楽にできるようになるでしょう(日本国内で完結すれば、日本の法律で全部フォローできるため、便利なのです。)。

 ということで、信託法改正、注目です。
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