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Posted by l.c.oh - 2005.09.20,Tue

小川 洋子

凍りついた香り


 今日はこいつを読みました。
 恋人を突然自殺で失ったフリーライターの女性(涼子)が、その恋人の記憶を探しにでかける物語です。
 小川洋子の世界の静謐さがこの小説でも出ています。
 この本も幻冬舎文庫版です。装丁は魅力的だと思いますが、やっぱり裏表紙の紹介文はあんまりうまくないですね。 「死者をたずねる謎解き」が強調されていますが、この物語の中心は、謎解きではないと思います。

 自殺した恋人(弘之)は調香師で、自殺する前夜に涼子にオリジナルの香水をプレゼントしていました。その香りを手がかりに、弘之の記憶が少しずつ浮き上がってきます(この「弘之の記憶」は、涼子が持っている弘之の記憶ではなく、弘之が持っていた弘之の記憶です)。
 なかなか面白い小説でした。この本の文章は、ミステリーのように、読者を引っ張っていく力があるように思います。今まで僕が読んだ小川洋子の本にはなかった傾向です。抽象的な言い方をすれば、「動」の文章で「静」の世界が表現されている、とでもいいますか。この感覚は、村上春樹に近いかもしれません。
 なお、この本の中核的な謎は、最後まで解答が与えられません。この「解答が与えられない」という言葉(don`tの意味でもcannotの意味でも)が、本書の謎を解く鍵になるのではないかと思います。

 あまりに抽象的な書評。これから読む人のために、本の内容にはなるべく踏み込みたくないのですが、内容に触れないと抽象的で意味不明な文章になってしまいます。まだまだですね。

9月19日自宅で読了
おすすめ度:★★★★☆
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