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Posted by - 2025.11.06,Thu
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Posted by l.c.oh - 2005.12.14,Wed
 書き忘れてました。

 12月7日にでた最高裁判所の判断は、「原告適格を認める」というものに過ぎません。これは、訴訟の入り口の扉が開かれただけで、いわゆる「勝訴」ではありません。まだ、(旧)建設大臣の認可がおかしかった(違法)かそうでないかの争いが残っています。

 もし認可が違法だったとされるとどうなるでしょう?普通であれば、認可が取り消されます。つまり、既にできてしまっている小田急の高架部分は認可なしに建てたことになります。そうなると、できた部分を即座に取り壊して、改めて地下化工事をするのがスジ、ということになりそうです。でもこれではあまりにも金がかかりすぎます。それに、小田急を使って通勤・通学している人の便宜も考えなくてはいけません。
 そこでこのような場合のために、「事情判決」という制度があります(行政事件訴訟法31条。憲法の議員定数不均衡、いわゆる一票の重みの訴訟でも使われます。)。これは、認可などの行政処分が違法だったとしても、原告がこうむる被害などと比べて取り消すのがあまりに大変な場合、取り消さないという制度です。ただ、これでは原告がかわいそうなので、事情判決では、「行政処分は違法だったよ」と宣言することになっています。この宣言は、原告が後で国に損害賠償や慰謝料を請求していくときに大きな意味を持ってくることになります。
 小田急の高架化工事がもう済んでしまっていることを考えると、認可が違法だと判断された場合、この「事情判決」が出る可能性が高いと考えられます。

 ちなみに、認可が違法でないとされると、単純に原告の負けです。その場合、国相手に損害賠償を求めていくのは難しくなるでしょう。騒音被害は小田急相手に補償を要求していくことになるでしょう。

行政事件訴訟法 第31条
 取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
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