ブログ(仮)
Posted by l.c.oh - 2005.09.28,Wed
- 小川 洋子
- 寡黙な死骸 みだらな弔い
連作短編集です。連作短編集というものはあまり読まないのですが、いや、これは面白かった。
全体を貫くテーマは「弔い」です。短編に登場する人たちは、それぞれの形で、失ってしまったとても大事なものを静かに弔っています。
さらに、それぞれの短編が、微かな接点によってネットワーク状に絡んでいきます。接点は洋菓子屋であったりベンガル虎であったり、うっかりしていると見逃してしまいそうな微かなものです。ネットワークは拡大していき、最終的に「完結」します。
まず、個々の短編のクオリティが高い。ちょっと目をひく設定から登場人物の心の動きまで、高々20ページに過不足なく収まっています。相変わらず日本語はきれいですし。背景は静かですが、『やさしい訴え』のようなしっとりとした静けさではなく、雑踏がわずかに聞こえるような街のやや乾いた静けさのような気がします。これが語られる物語によくマッチしています。
加えて、連作短編として、さらには一編の長編小説として読むこともできて、これも非常に楽しめる小説ではないかと思います。僕は、1回目は短編集として、2回目は長編小説として、2回とも小説を読む楽しさを味わいながら読みました。
おすすめします。
9月28日 自宅で読了
評価:★★★★★
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