ブログ(仮)
Posted by l.c.oh - 2005.12.02,Fri
- 内田 貴
- 契約の再生
名著の呼び声の高い、内田貴東京大学教授の本です。
2~3年前読んだことがあるのですが、当時は民法をほとんど理解していなかったので、ある程度体系が頭に入ったところで再読しました。
大学の民法の授業で恐らく最初に教えられる、一番単純な形の契約(例えば、単純なものの売買)を基礎として作り上げられた「古典的契約理論」が、現実に適合しなくなっている、という問題意識のもと、代替的な理論枠組みを模索するアメリカでの議論を紹介しています。中でも、内田教授の依拠する「関係的契約理論」の紹介に重きが置かれています。
日本の民法の解釈論へのインパクトについては、あまり紙幅が割かれていません。これについては、10年後に書かれた『『契約の時代―日本社会と契約法 』という本で詳細に扱われているようですが、僕は読んだことがないので、なんともいえません。
内田教授は恐らく、アメリカの学界のような活発な議論が、本書をきっかけに起こることを期待していたのだと思います。でも実際はあまり議論がなされたような印象はありません。本書が発行されたのは1990年ですが、90年代の社会的な変動のため、このような基礎理論に十分な時間を使えなかったのではないかと思います(僕の知らないところで大きな議論を呼んだのかもしれませんが。)。
文章は、内田民法(教科書)のように、法律書の中では非常に読みやすい部類に入ると思います。ただ、書いてある内容は結構高度なので、民法を一通り勉強してからでないと難しいでしょう。
「関係的契約理論」の肯否や、具体的解釈論の妥当性はともかくとして、内田教授の分析は非常に鋭い点を突いているところがあると思います。特に、日本民法の解釈論における「形式論vs実質論」の分析(本書の議論の中核とはちょっと離れているところですが。)は、個人的にとても興味深い。これについては、(誰も読まないであろうことを覚悟の上で、自分の思考をまとめるために)おいおい書いてみたいと思っています。
12月1日 通学中に読了
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