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Posted by l.c.oh - 2007.01.05,Fri
- 野崎 昭弘
- 不完全性定理―数学的体系のあゆみ
ゲーデルの不完全性定理の入門書。作者は『ゲーデル,エッシャー,バッハ―あるいは不思議の環
』の訳者の一人です。『ゲーデル,エッシャー,バッハ』を読んでみたときに、すごくおもしろい本の予感はあったものの、いまいち理解できない箇所が多かったので、不完全性定理については、一度きちんと理解したいと思っていました。類書はたくさんありますが、野崎氏の本は読みやすいイメージがあったので、挑戦してみる気になったわけです。
複雑な部分は省略して、コアの部分を丁寧に説明してくれているので、内容の割には読みやすかったと思います。不完全性定理について僕が理解していたことは、全く不正確であったこともわかりました。まぁ、「公理系」「無矛盾性」「完全性」とかの意味も分からないままに不完全性定理を理解しようと思っても、土台無理な話であった、ということは、この本を読んで痛感しています。
1・2章は読み物として軽く読めますが、著者自身も言っているように、3章から5章までが結構重いし、やや難しい。ただ、ここをとばしとばしでも読んでいないと、メインディッシュである6章(不完全性定理の証明の見取り図)は何も分からないままになりそうです。そういう意味で、全く予備知識がない(特に文系の)人が読んで、不完全性定理が理解できるか、といわれると、ちょっと疑問です。僕も、理解が深まったのは確かですが、「分かった」と言い切れるほどではありません。特に、自己言及を禁止しているはずの体系にゲーデル数を使って自己言及を取り込むプロセスがよく分からない。かなりクリティカルなところですが。分かる人いたら教えて…
あと、分かったのは、ヒルベルトがすごい人だということ。今まではゲーデルに夢を打ち砕かれた残念な人のイメージしかなかったのですが、ヒルベルトが数学界に果たした役割はすごく大きかったんですね。超数学が目指したものを知れたことだけでも、この本を読んだ意味があったと思います。
ということで、これを踏まえて、おいおい『ゲーデル,エッシャー,バッハ』を再読しようと思います。何時になることか。
1月4日読了
★★★★☆
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